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「ありがとうおとうさん!市川團十郎のむすめより」を見て
- 2015/6/23
- 免疫力を上げる暮らし
- コメント:2件

2015.6.21.「ありがとう おとうさん!市川團十郎のむすめより」の番組を途中から見た。
色々な患者の闘病ドキメンタリーを見ていますが、今回の映像は、番組制作のテレビ局のカメラマンが撮るのではなく、娘さん(市川ほたるさん)の撮影による映像でしたので、これほど自然な闘病生活を記録されていたのには驚きました。
また、団十郎さんの3回の入院による治療に対する姿勢とその体力の強靱さには驚かされました。
一般的にステージⅣで末期患者の抗がん剤治療による体力の低下は極端で、急速に悪化するのですが、団十郎さんは、客観的にご自身に容体分析して記録に残されていました。
白血病で虎ノ門病院に入院して、3回の入院治療で闘病の上、2013.2.3に永眠為されました。
このドキメンタリーで感じたことは、ガン患者さんとご家族の最後の迎え方がとても良く顕されていました。
がんは、患者さん本人とご家族の病気です、生き死にに対する対処の仕方を示唆されているとても良い番組でした。
市川團十郎さんのご冥福をお祈りすると共に娘さん市川ほたるさんのますますのご活躍をお祈り致します。
血液がんの情報がありましたのでご案内させて頂きます。
ガン最前線キャンサーボードTV「血液がんの治療」 201011.14放映
担当医:虎ノ門病院血液内科医長 伊豆津 宏二医師
日本血液学会・日本リンパ網内系学会などで活動し主にリンパ腫・骨髄腫の治療を担当している。
Q.血液のがんというとあまり馴染みがない様に感じるのですがどのように発病するのですか?
A.「血液の仕組み」
赤血球・白血球・血小板というのはすべて「造血幹細胞」と言うものから創られています。
「造血幹細胞」(血液を創る大本の細胞、自己複製能力がある。)
分化能力で主に赤血球・白血球・血小板の細胞を創り出します。
○ 赤血球(酸素や栄養分を全身に運ぶ)
○ 白血球(身体の抵抗力を担う)
○ 血小板(出血を止める)
Q.造血幹細胞がどのような状態になるとガンになるのでしょうか?
A.造血幹細胞から分化する段階で異常が起きてしまうのが血液のがんです。
「血液がんの種類」
代表的な血液のがん
○ 白血病
○ 多発性骨髄腫
○ 悪性リンパ腫
● 白血病(急性白血病)
造血幹細胞から作られている途中の未熟な白血球が「ガン化」する病気
「白血病の仕組み」
正常な場合は、骨髄の中で造血幹細胞から、赤血球・白血球・血小板に分化してそれが血管の中に流れている状態が、ガン化した血液細胞が骨髄の中で増殖して通常の血液細胞を作るスペースを奪ってしまいます。そのため体内で正常な血液を作ることが出来なくなるのです。
<身体に現れる症状>
貧血・出血・発熱
● 多発性骨髄腫
骨髄の中の形質細胞が「ガン化」する病気
「多発性骨髄腫の仕組み」
<形質細胞>とは、体内の異物に対する抗体(免疫グロブリン)を作り出す細胞です。
ガン化した細胞が特殊なタンパク質を放出することで骨がもろくなり,腰痛や骨折が起こりやすくなったり貧血や腎臓の障害も起こる。
<身体に表れる症状>
腰痛・骨折が起こりやすくなる・貧血や腎臓障害も起こる。
Q.これは白血病の方に比べて、罹る人の人数はどのくらいになりますか?
A.白血病 年間羅患者数 9,032人
多発性骨髄腫 年間羅患者数 4,431人 約半分以下です。
● 悪性リンパ腫
血液がんで一番患者さんが多い病気です。
「血液がん羅患率年次推移」
悪性リンパ腫 1975年 4,000人 2002年 15,500人
白血病 1975年 5,000人 2002年 8,500人
多発性骨髄腫 1075年 900人 2002年 4,000人
Q.4倍に増えている原因は何ですか?
A.一つは人口の高齢化であり、もう一つは診断の技術が進歩してきて今までリンパ腫として分からなかったものがリンパ腫と診断を下せる様になった。
「悪性リンパ腫とは」
リンパ球(全身を巡る白血球の一種)が「ガン化」する病気。
Q.リンパ球とは何ですか?
リンパ球は、ウィルスの様な外敵や腫瘍などの異物を攻撃する細胞。
リンパ球は通常、細菌やウィルスに反応して、首・脇の下・脚の付け根などにあるリンパ節という器官で増殖します。
多くの場合、
リンパ節の腫れはリンパ球が体内の異物を攻撃している証拠で正常な活動。
リンパ腫の場合では、
細菌やウィルスに反応していないのにリンパ球が異常に増殖してしまう病気
Q.歯や喉が痛くないのにリンパ球が増えていくのを見極め無ければならないですね?
リンパ球が「ガン化」するとはどういうことですか?
A.ガン化したリンパ球
「悪性リンパ腫の発症」
ガン化したリンパ球によって体内にコブやしこりが出来る。
Q.発症の原因は何ですか?
A.「発症の原因」
遺伝子に傷がついて起こる病気。
ただ遺伝子に傷が何故起こるのかはまだ分かっていない。
一部のリンパ腫は特殊なウィルスや細菌による影響と考えられています。
Q.悪性リンパ腫の症状とはどんなものですか?
A.「悪性リンパ腫の症状」
○ 主な症状例
・ リンパ節の腫瘍 ・腹部の膨満感 ・発熱 ・体重の減少 ・盗汗(顕著な寝汗)
こういった症状が出るまでほとんど見つからない。
CTや超音波検査など、検診を受けることで偶然見つかる場合もある。
Q.悪性リンパ腫と診断する基準は?
A.「悪性リンパ腫の発見・診断」
1.専門家が見て腫れのサイズが大きいと判断された時
2.腫れがだんだん大きくなってきている場合
3.検査によって他の場所にも腫れが見つかった場合
<リンパ節生検>
腫れたリンパ節の一部を手術で採取し、顕微鏡で詳しく観察して病気の診断をする検査。
この検査によって悪性リンパ腫であるか判断できる。
Q.リンパ節の腫れは普通でも起きますよね?
A.虫歯とか喉の痛みで腫れることの方が多い。
Q.この検査は時間がかかるのですか?
A.手術は数時間かかりますが顕微鏡で見て、結果が出るまでに数日~2週間ぐらいかかります。
Q.このような検査はどこでやるのですか?耳鼻科ですか?
A.手術は耳鼻科か外科の先生が担当しますが、リンパ節生検は可能なら血液内科医がいる病院で受けることをおすすめします。
「血液内科とは」
主に血液や骨髄・リンパ節に起こる病気を担当する診療科です。
内科の中では頻度の少ない病気を担当する為国内で血液内科のある施設は400ヶ所余りしかありません。
取り扱う病気は重いことが多く、診断や治療に特殊な知識対応が要求されるので「血液がん」が疑われる場合は、血液内科を受診することをおすすめします。
Q.最終的にはリンパ節生検をしないと診断は難しいと言うことですね。
A.診断の為には必要な検査です。
「悪性リンパ腫の種類」
○ ホジキンリンパ腫
ホジキン細胞・リードスターンバーグ細胞というのが顕微鏡で見られるリンパ腫です。
・ 結節性リンパ球優位性ホジキンリンパ腫
・ 古典的ホジキンリンパ腫 等
○ 非ホジキンリンパ腫
1.「B細胞性リンパ腫」
<低悪性度> :慢性リンパ性白血病、粘膜関連濾胞辺緑体(マルト)リンパ腫
濾胞性リンパ腫 等
<中髙悪性度>:びまん性大細胞B細胞性リンパ腫 等
<髙悪性度> :バーキットリンパ腫、B細胞リンパ芽球リンパ腫 等
2.「T/NK細胞性リンパ腫」
<低悪性度> :菌状息肉症 等
<中髙悪性度>:末梢T細胞白血病 等
<髙悪性度> :成人T細胞白血病、リンパ腫、T細胞性リンパ芽球リンパ腫 等
悪性度とは、病気の進行のスピードを表しています。
悪性度の高いものでも適切な治療を行えば治る可能性が高いものもある。(バーキットリンパ腫等)
Q.これだけ種類があるのにすべて「等」と書いてあるのは、もっともっと種類があるということですね?
A.悪性リンパ腫のタイプは全部で約60種類あると言われています。
悪性リンパ腫のタイプによって治療法が異なる。
Q.治りにくい、治りやすいは、あるのでしょうか?
A.治りやすい「びまん性大細胞B細胞性リンパ腫」もありますし、
進行はゆっくりだが再発を繰り返してしまうものもあります。
Q.自分のリンパ腫がどの種類なのか見極めるのが大事ですね?
これはリンパ節生検ですべて分かるものなのでしょうか?
A.病気によっては,病気の場所がリンパ節ではなくて皮膚であるとか胃に出来る場合もありますけれど、基本的には生検を行って診断がされます。該当するものを見つける大事な検査です。
● 悪性リンパ腫の広がりを確かめる
Q.リンパ腫のタイプが分かった後はどうなるのでしょうか?
A.次は病気の広がりを見る検査をします。
これは体のどこに何カ所、何個あるのかを見ます。
「病気の広がりを見る検査」
・ 血液検査、CTスキャン、骨髄検査、胃内視鏡、PET検査(ガリウムシンチ)
病気のタイプや治療を急ぐ度合いによって、受ける検査は変わってくる。
担当の医師が必要なものを判断する。
Q.血液は全身を巡っているのでどこにあってもおかしくないということですね?
A.そういうことから全身を調べる検査をします。
Q.これは外科手術で治すということは難しいのでしょうか?
A.そこが悪性リンパ腫の特徴の一つです。
外科手術をして終わりと言うことはありません。
悪性リンパ腫は、血液の細胞から起こる病気なので体中どこにでもできる可能性があります。胃がんの様に早期であれば一箇所に止まる病気と違い、診断時から体内に複数の病変がある場合が考えられます。
(腫瘍を一ヶ所取ったとしてもそれ以外の場所に別の腫瘍が出来ている可能性がある)
手術はあくまでも診断の為に行われ、治療は薬物治療が中心になります。
「悪性リンパ腫の治療方法」
○ 薬物療法(化学療法)
○ 放射線治療
○ 造血幹細胞移植
Q.多く使われるのはどれでしょうか?
A.最も多いタイプ、「びまん性大細胞B細胞性リンパ腫」では、薬物療法を用います。
Q.どのような薬物を使うのでしょうか?
A.「R-CHOP療法」の治療スケジュール
5種類の薬剤を3週間に1度のペースで使用する治療法
薬剤の種類 0 1 2 3 4 5
リツキシマブ ◎
ドキリルビシン ◎
ビンクリスチン ◎
シクロフォスファシド ◎
プレドニゾロン ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
上記の内、下の4つの抗がん剤を使って40年前からCHOP療法として行って来ました。
10年前からリツキシマブを用いた「R-CHOP療法」が行われる様になった。
それによって、治療成績が改善されてきました。
Q.リツキシマブとはどういう薬なんですか?
A.これは分子標的薬といわれる薬の一種です。
B細胞性の悪性リンパ腫を構成する「CD-20」という分子に結合し、他の細胞には悪影響を与えない薬。
Q.小さい小さい分子に作用して、その他の正常細胞には影響を及ぼさずにやっつけると言うことでしょうか?
A.そうです。B細胞リンパ腫はこれによって改善してきているのです。
「リツキシマブの作用」
Q.悪性リンパ腫にどのように作用するのか?
A.実際には点滴によって体の中を廻ってがん細胞に張り付いてそれによって効果を与える治療法です。
Q.分子標的薬が出て来てガンの治療法が変わってきた例も多いですね?
A.悪性リンパ腫の場合は、このリツキシマブが代表的な分子標的薬です。
Q.これはかなり費用がかかるのでしょうか?
A.R-CHOP療法の費用
1回につき、20~30万円。
高いですが日本では高額医療制度があって、1ヶ月の治療費の自己負担額が高額となった場合に一定の金額を超えた部分が払い戻しされます。保険の範囲でカバーされます。
「薬物療法の種類」
Q.他の薬物療法を使えると言うことはあるのでしょうか?
A.「薬物療法の種類」
リツキシマブ単独療法:B細胞性低悪性度リンパ腫
CHOP療法 :T細胞性リンパ腫
ABVD療法 :ホジキンリンパ腫
Q.良く効く薬といえども副作用とは無縁ではないということでしょうか?
A.薬物療法による副作用
◇ 抗がん剤による吐き気、脱毛
◇ 白血球が減ることによる感染症 など
他の治療法について教えてください。
● 放射線療法
Q.放射線治療はどういった場合に適用されますか?
A.がんが一ヶ所に止まって限局している場合、
薬物治療後一ヶ所に病変が残ってしまった場合
● 造血幹細胞移植
正常な血液を作り出す造血幹細胞を移植する治療法
○ 自家移植
大量化学療法後に自分自身の正常な造血幹細胞を体内に入れ直す方法。
○ 同種移植
他人(兄弟か血液バンクドナー)の造血幹細胞を移植する方法
Q.どちらが多く用いられていますか?
A.悪性リンパ腫の場合は、自家移植が多く用いられています。
「自家移植の手順」
1. 造血幹細胞を採取して凍結しておく。
2. 大量化学療法を行う。
3. 凍結してあった造血幹細胞を溶かして点滴で入れる。
但し、大量化学療法を行う為、副作用がある為、再発した患者さんや再発する可能性の高い患者さんを除いて一部の患者さんに適用されます。
Q.最後に血液がんの治療についてメッセージをお願いします。
A.悪性リンパ腫は、リンパ球という全身を廻る細胞がガン化して起こる病気です。
そのことからしばしば病変が全身のアチコチに出ることがあります。
そのような時に自分の病気は末期なのかも知れないとがっかりされることがあるかも知れません。
ただ悪性リンパ腫の治療は、薬物療法で全身に対して行われる治療なので,今は新しい良い薬が出ていますからも自信を持って治療を受けられることをおすすめします。
と結んでいます。
<ヒデちゃんのコメント>
血液がんは、現場に立ち会っていませんので特別にはありません。
ただ、分子標的治療薬で成果を上げられている症例が沢山出て来ていますので、大切なのはキャンサーボードのような施設を選び、医者を選ぶことが大切であると思います。
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